買った小説を、最後まで読み終わらないなんてことも、偶にある。
恩田陸の「夜のピクニック」なんて、4年ぐらい前に読み始めたのに、未だに読み終わってない。何ども途中で投げ出してしまう。
北村薫の「スキップ」も、タイムスリップがテーマで、好きな感じなんだけれど、未だに半分しか読んでない。なんでだろうか。
読み終わっても、内容が全くわからないなんて小説もある。
安部公房の「箱男」
ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する男の記録。
むつかし過ぎて、むつかし過ぎる。決して「よつばと!」のダンボーの話ではない。
こうではなく

こう。

安部公房は、むつかしい話が多いけれど、「人間そっくり」とかは会話劇でわかり易く、かつ話の内容も面白いので、結構好きだ。
そんな読み終わってない小説があったり、なかったりのなか
先日、久しぶりに小説を買い、読み終わったので感想を

星降り山荘の殺人 倉知淳 1999年(講談社文庫)
あらすじ
雪に閉ざされた山荘。ある夜、そこに集められたUFO研究家、スターウォッチャー、売れっ子女流作家など、一癖も二癖もある人物たち。交通が遮断され、電気も電話も通じていない陸の孤島で次々と起きる殺人事件…。果たして犯人は誰なのか!?あくまでもフェアに、読者に真っ向勝負を挑む本格長編推理。
活字を読むのが苦手なんだけど、ミステリ(特に叙述トリック)とSFは好きなので、割とすらすら読める(要は好みの問題なんだと思う)。
感想としては、ミステリの王道、吹雪の中の山荘というテーマにも関わらず、
うまく叙述トリックを施してあり、くそーだまされた!の感じが味わえて非常に良かった。
ただ、登場人物のキャラが諄いのと、締めが今一つなのが残念だった。
この小説とは違うけれど、叙述トリックのミステリの中では
去年の春に読んだ殊能将之の「ハサミ男」が、ここ数年の自分の中で一番のヒット。

ハサミ男 殊能将之 2002年(講談社文庫)
あらすじ
舞台は2003年の東京。女子高生2人が同様の手口で殺害される事件が発生していた。2件とも被害者の喉にハサミが深く差し込まれていたことから、マスコミは犯人を「ハサミ男」と命名。ハサミ男は連続猟奇殺人犯として世間の耳目を集めていた。
一方、ハサミ男は3人目の犠牲者を選び出し、入念な調査を行っていた。しかしその調査の中で、自分の手口をそっくり真似て殺害された犠牲者の死体を見つける事となる。先を越されてしまったハサミ男は、誰が殺害したのか、なぜ殺害したのかを知るため調査を開始する。
書店であらすじを読み、面白そうだと思い、購入。
ただ、タイトルが中二臭い。
520Pで分厚めの作品だけれど、読み易く、非常によくできた作品。
叙述トリックも、終盤までわからず、やられた!と感じることができる。
読了後、珍しくもう一度読み返した。
ちなみに作者の出身高校が、福井県の藤島高校と知ってびっくりした。隣の高校じゃん。
また、2005年に麻生久美子、豊川悦司、阿部寛の出演で映画化がされている。
映画は、2000年代の作品なのに、昭和のサスペンスドラマの雰囲気が凄いした。
制作費が少なかったんだろうなーと思わせるほど(その割に俳優陣豪華)映像が安っぽいけれど、
終始流れる、電子音とサックスのBGMと相まって、割と好きな雰囲気の映画だった。
あと、麻生久美子が若い。豊川悦司が渋い。そして阿部寛の肌がつるっつる。
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